午前:ワイルドな相棒との出会い
今日はドイツ・カールスルーエからフランス・ストラスブールを目指す。走行距離は約120km。自分のペースでは二日ぐらいかかると思う。外はあいにくの雨だ。
街から出るのが一苦労だった。迷いながらも何とか脱出し、ライン川沿いのルートに出る。ライン川沿いといっても、いくつかの川や森の中を抜ける感じだ。
走っているとサイクリングのおじさんに出会った。どうやら同じストラスブールを目指しているそうで、「一緒に来るか」と言われたので、ついていくことにする。

おじさんは半ズボンにボロボロのセーター……。雨が降り出すとビニール袋に穴を開けたものをかぶりレインコートにしている……。ワイルドだ!! 荷物も荷台に少しだけ載せ、ビニールをかぶせているので、見た感じ、こういっちゃ悪いが浮浪者の大男といった感じだ。

しかしこのおじさん、道にほとんど迷うことなく、迷ったとしてもすぐに軌道修正し的確に走る。おかげで今日はかなり距離を走れそうだ。おじさんは水も補給せずガンガン走る。おじさんのバイクはタイヤも大きく太いのでいいが、こっちはミニベロでタイヤも小さく細いので、砂利道やぬかるんだ道ではハンドルをとられ、なかなかうまく走れない。おまけに今日はかなりの向かい風だ。時折、雨も降り、天気も悪い。だが、おじさんに負けるわけにはいかないので、どっちが根を上げるか根競べである! おしりが痛い……。

昼:タフガイの正体
おじさんと出会って3時間ぐらい走った14時ごろ、おじさんが「のどか乾かないか」と誘われるがまま休憩、昼食にする。昼食の場所を探すにしても、道に迷ったにしても、おじさんは英語ができるので難なくこなしていく。英語が出来ればと実感する……。
昼食時におじさんと話をすると、おじさんは3日前にフランクフルトに来たカナダ人だった。名前はガイさん。んー、なんか自分と似ている……。ドイツに来る前に、ハノイから上海に北上してから来たと言っていた。やっぱり只者ではなかった。今は仕事の休みを利用して一人旅に来ているとのことだ。
お昼はビールにポークステーキ・ポテトを食べた。カナダ人の主食は何かと聞くと「ステーキだ」と言っていた。昼食後再び走り出す。
ライン川を渡し舟でわたりフランス入りする。
ガイさんは「ドイツよりフランスがいいぞ」と言っていた。フランスは華やかな印象を受けた。ドイツも好きだがフランスも良い。川を渡るだけでこんなに街が違うのかと驚いた。フランスは花がたくさんあり、家も赤茶色の屋根が多く、明るい色したメルヘンチックな家が多かった。
夕方〜夜:ストラスブール難民とタクシーバトル
このペースで行くとストラスブールまで今日中に着けそうだ。向かい風が強いので、おじさんが「自分の後ろにぴったりくっ付いて走れ」という。こうすると後ろの人は風の抵抗が無くなり楽に走れるのだ。二人で交互に交代しながら進む。
16時、あとストラスブールまで20kmの標識。しかしなかなか着かない。120kmはかなり遠い。道に迷う……。10kmぐらいロスしてしまった。かなり強い雨が降ってきたので、小屋を見つけ雨宿り。しばらくするとフランス人らしき自転車の兄ちゃんも入ってきた。おじさんと英語で何やらやりとり、早すぎてよく分からない……。雨が一向に止まないので小雨になったところで出発。ガイさんはサインを目印にバンバン走っていく。
後ろから、さっきのフランス人の兄ちゃんがやってきた。あと少しなのでストラスブールまで案内してくれるそうだ。
18時30分、ストラスブールに到着。二人で宿を探す。ホテルを見つけ早速交渉するが、いっぱいであった。ガイさんはホテルのインターネットを借りてストラスブールを検索する。しかしなかなか見つからない。ネットより実際足で探した方が見つかることが多いと事前情報で聞いていたが、ガイさんに細かなニュアンスは伝わらないし、これからの時間だとどうなるかわからないので、旅の猛者に委ねることにした。
二人とも雨と泥でドブネズミのような格好だ。ホテルのスタッフにも近くのホテルに電話してもらうが、どこもいっぱいだった。仕方がないので、ネットで空きが唯一あったヒルトンホテルに向かう。一人330ユーロだ。仕方がない……。
ホテルへ着くと、ネットで空きがあったのにも関わらず、いっぱいで断られる。ガイさんもかなり怒ってスタッフに交渉しているが無理のようだ。このいでたちじゃ仕方がない。しょうがないのでヒルトンでインターネットを借りてまた検索。この場所からかなり遠くまでいけば空室があるようだ。40kmも離れている……。
ホテルに自転車を積めるタクシーを呼んでもらい、高速を使って移動する。タクシー代100ユーロ。30〜40分後到着。宿代をガイさんがカードで立替予約したので、タクシー代は自分が払う。
タクシーの兄ちゃんがメーターを見せ130ユーロだと言ったので仕方がなく支払う。支払った後、ガイさんがいくら払ったかと聞いてきたので130ユーロだと言う。ガイさんはさっきまでタクシーの兄ちゃんとフレンドリーに話していたのに、「話しが違う」と運転手に怒り出した。「ホテルで電話で呼んだときに『100ユーロだ』と言ったのにおかしい」と言って引き下がらない。運転手は「雨の中、自転車まで運んだのにそれは無いだろう」と言っている。自分はタクシーだからしょうがないと思ったが、おじさんは一歩も引かない。
宿の主人も加わり、タクシー会社へ電話することに……。数分やり取りの後、運転手も観念したようで「これでお互いさまだ」と言って、自分に20ユーロ手渡した。運転手は捨て台詞を吐いて帰っていった……。タフ・ガイさんの勝ちである。
時間は22時。今日の夕飯は宿で買えるビールのみだ。今日は1日長距離を走り、トラブルもあり疲れたが、服も泥でドカドカなので、洗濯してから消灯する。今日はヘビーな一日だった。



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