海外へ行くにあたり、スケジュールを決める必要があったが、自分の性格ではしっかり準備するのに1年くらいかかりそうなので(笑)、まずは簡単に入国・出国の場所を決めることにした。
環境・エネルギーの先進国を巡るということで、北欧とドイツは外せない。特に北欧は、以前からデザインや福祉、教育の面でも非常に興味深い国々なので、ぜひ訪れてみたい場所である。また、最近調べてみると、ドイツも環境やエネルギー政策に非常に力を入れていることが分かった。加えて、日本と国土や人口の規模が似ているため、比較しやすい点でも興味深い。
これらを踏まえ、日本からのアクセスの良さも考慮し、入国地はドイツのフランクフルトに決定。そして、ルートはドイツから南に向かい、スイス、イタリアを経て、オーストリアとチェコへ北上し、ベルギー、オランダを巡った後、北欧へ進む。出国地はノルウェーのオスロに決定した。
気候もこれから夏に向かうため、南から北へ抜けるのが最適だと判断した。6月初めから7月後半までの50日間の旅となり、途中で鉄道を少し使わないと日程的に厳しいが、総走行距離は約5600kmの長い旅になりそうだ。主要な場所だけを決め、細かなスケジュールは現地で考え、あとは成り行きに任せることにした。
海外渡航情報を調べ、危険な地域や伝染病の発生状況も確認した。イタリア北部では5月20日と29日にマグニチュード6.0の地震が発生し、建物が倒壊して危険な状態になっているため、イタリアへのルートは再検討が必要だ。中央ヨーロッパでは、ダニを介したウイルス性脳炎が発生しており、ダニに噛まれると発熱や頭痛、意識障害が起こり、重症の場合には死亡することもあるそうだ。また、ヨーロッパ全土には、まだ狂犬病が残っている地域もあるという。
これらに対する予防接種を日本で受けることも可能だが、日程的に間に合わないため、十分注意して旅へ出かけることにする。ダニは森に入らなければ問題ないし、犬や動物に噛まれなければ大丈夫だ。治安については、スリや置き引きが日常茶飯事であり、海外ではどこでも気をつける必要がある。特に日本人は狙われやすいので、十分警戒しなければならない。
家族のためにも海外保険には加入してから出発する。こうして調べていく中で、改めて「守られた日本」という国を再認識させられる。
言語はフランス語、ドイツ語、イタリア語、チェコ語、オランダ語、デンマーク語……。今回の旅は観光目的ではなく地方を訪れる予定なので、ほとんど現地語ばかりだ。世界共通語の英語ですら満足に話せない自分だが、右往左往しても仕方がない。
スマートフォンのアプリ「会話翻訳10カ国語」と簡単な英会話本「英語版」を準備し、あとはボディランゲージで何とかしようと思う。文化の違いはあるだろうが、根本的な部分は同じはずだ。相手は火星人ではなく、同じ人間なのだから。これも旅の楽しみの一つだ。コミュニケーションを楽しみながら進んでいきたいと思う。
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